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【DartsBar.11】cafe bar MILIMILI【板橋駅】

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2018.04.20 Fri.

埼京線板橋駅

 ジェローム・K・ジェロームという作家がイギリスにいたようで、この作家がとても良い事を言っている。「仕事が忙しくなければ、怠惰を思いきり楽しむことはできない。」と。ウィぺディアによると、大変苦労した方だったようだ。こんな苦労人な方でさえ怠惰を知っていて、持論を展開している。人生とは苦労や辛い事があったとしても、本来楽しいものなのかもしれない。ジェロームさんもパブでビールかシャンディガフを煽りながら、ボードにダーツを放っていたのかもしれない。最高である。
 仕事終わりにダーツバーなんかに軽く飲みに行ったつもりが、ついつい楽しくなってしまい、深酒をすることも多いだろう。私は特にそうである。「軽く一杯」と言って、軽く一杯で終わった例がない。翌朝目覚めてから、後悔と悪心と頭痛が同時にやってきて、歯ブラシを口に入れるのも辛い。まるで縫い針の穴に糸を通すが如く、難儀な作業となる。このような経験をしている人が、私が知っているだけでもかなりの人数いるという事も忘れてはいけない。私だけではない。
 学習しないのかとよくいわれる事もある。楽しくてついつい飲み過ぎて投げ過ぎてしまっているだけで、学習は出来ている。酒の味や酒類などの造詣が深くなり、ダーツに関しても勤勉にトレーニングや意見交換などして勉強しているので、ある意味学習はしている。最早、屁理屈の域であるが、仕事終わりに行くダーツバーは本当に楽しいものである。

 ……そうだ、ダーツバーに行こう。

 板橋駅に降り立って、西口を出た。今回伺うお店は駅から近すぎて、もう駅から見えてしまっていた。なんとなく直ぐに入るのもさみしいので、駅を出たロータリーの所の喫煙所や、お店近辺をぶらぶらする。何週間前かに行ったプールバーもあって、そこもいつかは紹介してみたいなと思ったり、そういわれればここの飲み屋さんで飲んだ事あるな、ここの不動産屋さんに来た事があるなど、意外にもかなり板橋に足を運んでいた経験がある事に、自分でも驚いた。
 埼京線の駅であるので、新宿や渋谷からのアクセスは簡単である。池袋からなら直ぐにつく印象だ。埼京線沿線はダーツバーが少なそうだと、それこそ検索などして思っていたが、なんだかんだダーツマシンが置いてあるところもあるし、「繁華街」というほど騒がしくもないのもいい。調度よく人がいてにぎやかという感じだ。にぎやかという表現はとても夜の板橋に合う表現だと今思った。
 駅の周辺は飲み屋さんやご飯屋さんが多い。小さい立ち飲み屋さんや居酒屋が並ぶ通りにあるビルの二階にそのお店があった。もう駅から見えていたので「あった」というのもおかしい表現な気がしてくる。徒歩にして1分の距離。おそらく走って30秒。ウサイン・ボルトなら7秒くらいの距離である。
 親友の話だと、このお店のそばにある鯛だしのラーメン屋さんがおいしいとのことだったので、今度行ってみようと思っている。なんだか小さい通りにたくさんの赤提灯が並んで、趣のある通りだと感じた。この雰囲気とダーツが共存しているのに感銘を受けた。

 新しいお店「MILIMILI」さんは駅からすぐなので、何の心配もない。

お店に入り感じる気持ちはシンプル。 今までにない雰囲気、まさに新風。

 今回お邪魔したMILIMILIさんは、四月にオープンしたばかりの新店舗様だ。新しいお店というだけで嬉しい気分になる。歴史があるお店もまたいいが、新鮮な気持ちになる。私の拙いダーツ人生の中でも、数店舗は開店したばかりのお店に行くというイベントがあったが、何度味わっても幸せな気持ちになる。
 階段を上り、ドアを開けると鳥のさえずりが聞こえてきて、驚いてしまう。森の中を連想させるような鳥のさえずりだ。鳥に詳しくないので、種類がわからない。どことなく懐かしい鳴き声だった。最初は間違ったお店に入ったのかとさえ思ってしまった。となりだったかと一回ドアの外を確認するが間違いない。
 木目に深い青の店内は、森の中の泉を彷彿とさせる。ダーツバーでこんな所あっただろうかと思いを巡らせるが、思い当たらない。なんだか不思議な場所に足を踏み入れたような気持ちになるが、奥に進むとすでに投げているプレイヤーが何名かいる。ここは間違いないくダーツバーだと確信した。女性スタッフが声をかけてくれ、テーブル席に案内してくれたが、そこにはもうすでにプレイヤーの方がいて、戸惑いながら「ここですか?」と伺う。その男性プレイヤーも私をみて「え?誰?この人」となり、しばし沈黙するが、本日開催のリーグ戦のアウェイチームのメンバーだと思ったらしく、私も紛らわしくて申し訳ないという感じで、カウンターに席を取った。
 カウンターもオシャレである。ろうそくに灯がともり、温かい気持ちになる。いまだかつてこんな雰囲気のダーツバーがあっただろうか。あったかもしれないが、私には縁がなかっただけもしれない。

 シンプルに「居心地がいい」。
 どこか、リゾートにいるような雰囲気。北欧のオシャレなリゾート地のような感じである。いった事はないが、そんなイメージが沸いてくる。店内の深い青……「藍」と言えばいいのか、そういう色と店内の暗すぎず明るすぎない照明、木目で統一されている内装。腰かけた椅子、カウンターの深さ、さりげなく置かれたろうそく、手書きのメニュー表、ゆったり沈むソファ。どれ一つとってもこだわりに満ち溢れている。そのこだわりは、けして、よくいる頑固おやじのラーメンや難しいコーヒー屋さんのコーヒーとも違うこだわりである。私たちをいかに心地よくさせるかの「こだわり」である。
 もちろん、ビールをお願いした。ビールと一緒に「お通しです」と小鉢を渡された。中身は何種類ものスナックである。すごくいい。甘いものもしょっぱいものも、バランスよく計算されて盛りつけられている。しょっぱいものを食べると、人は甘いものを食べたくなる。甘いものを食べていると、やはりしょっぱいものを食べたくなるのである。人間とはどうしてこうも欲深いものか。しかしこのお通しは、そのすべてをかなえてくれるのである。些細なことかもしれない。そんな事といわれるかもしれない。だがしかし、ここにこのお店のお客様への心遣いのすべてが詰まっているといっても過言ではないのではないか。
 気遣い、心遣いは店内の隅々にわたる。実際に行って確認してもらいたのだが、普通だったら気にしないようなところまで気にして、丁寧に作ってあるお店であり、一瞬たりとも現実に目覚めることなく過ごす事が出来るだろう。おそらく私が、同じ業種を経験、出身であるがゆえに気が付いてしまった事だったりする事もある。同業者様は目から鱗な部分が多いかもしれない。是非、皆さまの目で確認してもらいたいと思う。
 定食もあった。次来たら絶対に食おう……そう思った。今日はどちらかというと飲みたい気分だった。

 ソフトダーツは2台。そしてもちろん2機種。ハードボードも2面確認した。もうひとつ、向こうでハードのリーグを行っているので、きっとそこにもあるし、最大でハードが4面設置になるという素晴らしい話も聞いた。店内は、リーグ仕様にこの日だけ模様替えされていたようで、どんな感じなのかデフォルトを知りえないのだが、ゆったり広く、くつろぎやすい。また、投げ場も広くなっている。広く感じられるのか実際に広いのか、私が夢の中なのか、それは定かではないが、投げやすい広さ、窮屈に感じることなど何一つない感じが素晴らしいお店だった。通常通りの店内レイアウトになったからといって、狭くなるという事は決してあり得ない。
 かなり私のお酒がすすんだ頃、ここで待ち合わせた親友たちとダブルスをする。まだオフラインだったが、仲間が集まれば何だってダーツは楽しい。メンバーには最近ダーツを始めたばかりの子もいるので、みんなでルールを説明しあい、それぞれがダブルスパートナーになって投げる。
 ダーツ業界に細々と何年もいるくせに、本当に初心者で最初から教えるなんて経験を久しぶりにしたように思う。我々には当たり前のようなルールでさえ、本当に初めての人にはチンプンカンプンなのである。特にクリケットは、説明すればするほど質問が沸いて出てくる。「なぜ、今19に行ったの?」「しめるってどういうこと?」「どうなったら勝ちなの?」分かっているけど、説明しているけど、理解してもらうのは難しい。クリケットのルールはシンプルかもしれないが、セオリーや戦略が醍醐味で、それを理解しないと楽しめないものなのだ。もっとわかりやすく説明出来たらきっともっと楽しんでもらえるだろう。
 「やったらわかるよ」ではわからない事が多いものだと、私たちプレイヤーは肝に銘じておかなければならない。じゃないとモテないという事がよくわかった。反省の日々である。

 ハードのリーグの試合が終わったあたりで店内が、リーグモードの静けさから、すこしにぎやかになってくる。今までハードを投げていた方々がソフトも楽しみ始めた。私も少し一人で投げていると、三人の方からダブルスをやらないかと声をかけられ、私は参加することにした。ダーツの最大の魅力の一つといえるかもしれない。同じ空間にいると、たまにダーツをしようと声をかけられる事がある。オンライン対戦で腕を磨き、レーティングを上げていくのも楽しいが、ダーツの醍醐味と言えばリアルに人と対戦する事でもあると思う。まったくお見かけした事もない人達だが、共通する事はある。
 お互いに「ダーツが好き」で「ダーツプレイヤー」である事である。
 自然に、ダーツで関わる事が出来る。こんなにすごい事はない。今まで全く接点もなく生きてきた人同士が、ただダーツをするというだけで、知り合いになる事や親友になる事だってあり得るのである。
 複雑な現代日本社会、よく「出会いがない」など嘆きを聞くが、実際ダーツを始めてそんな悩みに直面する事がない。対戦したくなければ対戦しなくともよいし、やりたければ自分から声をかけていくのもいい。実際SNSなどでも出会いに特化しているものもあり、流行しているが、実際画像や写真だけではわからない事も多いのではないだろうか。
 ダーツは出会いのきっかけになる事が多い。ダーツバーを探して、赴き、投げているうちに気が付けば何人もの知り合いが増えている事もある。しかもダーツをきっかけに話も盛り上がる。親しくなるのも早い。
 おそらく一人で投げていては気が付かない事も多いだろう。一緒に同じボードに向かい、ダーツをすることによって、その攻め方や考え方から、その方の人となりを感じることもあるはずである。
 
 MILIMILIさんは、オシャレな雑貨屋さんに入ったような気持ちにさせてくれる。女性でも、居心地はいいだろう。とてもおすすめなお店だった。いつまでも夢の中にいるような気持ちになる。こんなダーツバーはいまだかつてない。温かい安心できる空間だ。
 ダーツさえあれば出会いはたくさんある。新しいお店、新しい人との出会いで、人生がより豊かになって行くに違いない。

MILIMILI
東京都板橋区板橋1-13-8
03-6875-7697

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