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ハイエナ・ロード

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2018.02.20 Tue.

戦争映画におけるヒマつぶしの手段

世のダーツプレイヤーならばご存知ではありましょうが、一口に『ダーツ』といっても、そこにはいろいろと種類がある。

ダーツマシーンを使ったソフトティップのダーツ、本格的なブリッスルボードを使うスティールティップ、はたまたゲームの内容で区別するならば、持ち点を減らしていき最終的にゼロにした方が勝ち、というゼロワンゲームや、自陣のナンバーを奪い広げ得点を重ねるクリケットというゲームなど、同じダーツの中でも多種多様な楽しみ方が存在する。

同じように、世の中の映画も公開前にはある程度、様々なジャンル分けが各種メディアや宣伝などによってなんとなくなされており、人々は趣味嗜好に合わせて観たい映画をチョイスすればよい、という仕組みになっている。

今回は、その中の『戦争映画』というジャンルをピックアップする。
これは、太古の昔から近代にかけての戦争、紛争の類いを取り上げ、登場人物たちの戦地での戦闘を活写しつつ人間ドラマを描いていこうとするものである。

例えば『エクスペンダブルズ』シリーズのように、超有名アクション俳優が古今東西大集合し、どっかんばっかん大爆発、主人公はおおよそ命知らずで、何も深いこと考えずに楽しめる爽快な勧善懲悪アクションムービー、みたいにエンタメに振り切った作品もあれば、『プライベートライアン』のようにリアルな戦争を描きつつ、人は何故戦わなければいけないのか、命の尊さ、戦争の残酷さ、平和の素晴らしさを問いかける、みたいな、戦争というものの深淵に迫った作品もある。

で、だ。

こうした戦争映画に出てくる軍人たちは、戦地でのヒマつぶしの手段として、よくトランプを用いる。
持ち運びが楽なので遠く離れた戦地でも持って行きやすい、誰でもがルールを知っている、というのがその理由であろう。

詳しくはわからないが、みんな多分ほぼポーカーをやっている。
ババ抜き、大富豪、スピードとか七並べをしている様は全く見たことがない。

トランプの他には、一人でギターをかき鳴らすストリートミュージシャン軍人や、バーボン瓶で飲む軍人、家族や恋人から手紙届く軍人、異性の同僚とラブラブチュッチュ軍人なんかもよく見かける。

そんな軍人たちのヒマつぶしの場面だが、実は、この時にダーツボードをよく見かけるのである。

居留地のテントや建物の壁に、ふとダーツボード。

ただし、誰かが実際に投げているシーンはとても少ない。
ダーツボードはインテリアや小道具として映画の中に存在するだけだ。

なので、映画を観ていて、極稀に、実際にダーツを投げている場面に遭遇したりすると、なんだか宝くじに当たったようで嬉しいですよね。と、身近にいるダーツで遊んでいる人々に問いかけてみたところ、返ってきた答えがこうだった。

「わりとどうでもいい」

ば、バカな……。

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アフガンに派兵され、復興道路の建設に携わっていたカナダ軍の狙撃部隊の兵士たち。
突如、任務中に敵軍に襲われ、近隣の村の長に救われる。
その村の長は、実は地元有力者たちに対して絶大な影響力を持つ歴戦の勇士であった。
それを知った情報将校が、その村の長に接触を図り……というストーリー。

どちらかというと戦争という事実に基づいたメッセージ性の強い作品であり、かといって真面目過ぎて退屈するかといえばそうでもなく、緊迫したリアルな戦闘シーンの連続で、あっという間に物語の中へと引き込まれていく。

やがて、お待ちかね、軍人たちのヒマつぶしのシーンがやって来る。

情報将校がおもむろにダーツを手に取り、ボードへ向かって投げる。
おお。

カナダの軍人たちは、戦地ではこうやってダーツで遊んでいるのだ。
あまり気持ちの良いものではないが、ダーツボードに現地の雑誌かなんかの切り抜き写真なんかを貼りつけて的にしている。

使っている道具は真鍮でできたやっすいブラスダーツ。
そしてセッティングはアルミシャフトにカナダ国旗柄のフライト。
その一本はまあいいとしても、他の二本についてはフライトの形が違う。
Harrowsというメーカーのファンテイル形状のフライトである。
フライトの形が違うと、ダーツの飛び方、飛ばし方が少し変わる。

どうやら本格的にPDCの挑戦を目指したりしている人たちではないらしい。
本気で練習しようとしていたわけではなく、あくまでも遊び、余興用として持ち込んだのだ、ということが推測できる。

戦地の軍人さんたちはこのような状況ではあるが、実際のところカナダの人たちはダーツとどのように付き合っているんだろうか。

少し調べたところ、こんな記事が出てきた。

https://www.cinematoday.jp/ne…

この記事は米ワシントンのお店の話だが『カナダで人気の』とある。
カナダのみんなは、今、ダーツではなく斧投げることに夢中らしい。

ストレスたまってんのかな。

もはや狙いはブルズアイじゃない。アフガンのイケメン。

真ん中の白髪の人が劇中で実際にダーツを投げた情報将校。

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