NEWS

<メジャー>ワールドグランプリ、歴代初のタイトル防衛なるか

0
0
2019.10.06 Sun.

過去4度、防衛を失敗させたのは何か

https://www.pdc.tv/news/2019/…

今週末、マイケル・バン・ガーウェンがこの十年以上誰も成し遂げていないことをしようとダブリンへ乗り込んだ。2年連続のワールドグランプリ優勝だ。

バン・ガーウェンは10年間で4度優勝しているが、一度もタイトル防衛を果たしていない。いつも意外な展開で敗退していた。

2013年にはデーブ・チズナルにテレビ放映で敗退、チズナルはこれ以降26回の対戦で一度も勝っていない。2015年には激闘の決勝でロバート・ソーントンがオランダ人の邪魔をした。2017年のグランプリではジョン・ヘンダーソンに最終レッグで敗れ去っている。ヘンダーソンはこの世界No.1をテレビ放映イベントで2011年以来初めての初戦敗退を演じさせた。

バン・ガーウェンほどの技量でもワールドグランプリタイトル防衛が難しいという現実は技術よりタイミングが重要であることの証左だ。世界の名だたるプレーヤーでも立ちはだかる難題を感じ、優勝を繰り返すことに孤独感が生じる。

ワールドグランプリでの異常性は何といってもダブルスタートだ。ダブルが入らなければレッグが始まらないし終わらない。

プレーヤーは時々頭にきて1本が入れば良いとして、ダーツをまとめて投げたりしてきた。この方法ではもちろんスコアはゼロだ。相手が最初のターンでダブルが入りそのまま進む状況ではそうしたくなる。

ただ一つ例外的だったのが2007年のマーク・ダッドブリッジでアンディ・ジェンキンスとの劇的な最終レッグだ。このブリストルのプレーヤーはスタートのダブルを9本外したが、その後削りを12本で終え勝利してしまった。

このフォーマットの難しさは一見すると明らかにメンタル面だ。501ストレートスタートではターゲットを外しても得点になる環境で、投げればゼロに近づく。オープニングのこの現象がこれがワールドグランプリでは通用しない。だからプレーヤーは相手の素早い進行を見ないようになる。

微妙だがダブルスタートで影響するものは、先行有利がそうではなくなることだ。先攻はあくまでも有利なのは変わりない。ワールドグランプリで先攻するプレーヤーがそのレッグを取る率は58%だ。しかしこれはストレートスタートのイベント比較すると25%も少ない。

プレーヤーがどのダブルを狙うかは興味深い謎だ。ダブルのデータを長く取っていくと、16ダブルが20ダブルより3倍多くなっている。このダブルがダブルスタートを成功させる最大の可能性と思われる。

実際、16ダブルに固執するサイモン・ウィットロックやマービン・キングはワールドグランプリでは殆ど16ダブルトライで入っている。

しかしこれによりダブルスタートでの9ダーツ達成の可能性が少なくなり、歴代のイベントで3度しかこの偉業が達成されていない。

今年はストレートスタートフォーマットでこれまで42個の9ダーツが記録されており、2014以来となるワールドグランプリでの9ダーツ達成の栄光への期待はどんどん高まっている。

16ダブルのスタートでは19トリプルが20トリプルより狙いやすくなるが、全部入っても20ダブルからのスタート得点の160得点より14点少なくなる。

しかし一方、20ダブルの狙いは他のダブルより内側へミスすることが多い。10ダブルの好きな多くのプレーヤーは、他のダブルより少し内側の狙う場合が多い。

しかしダブルスタートでは内側に入ってしまうと20ダブルをブロックすることとなり、ダブルの目標を替える必要が出る。一方16ダブルが好きなプレーヤーはミスがどこに行ってもそのまま続行することになる。

ダブルスタートの異常な努力を必要とするフォーマットは通常ストレートレッグフォーマットでのプレーヤーのベストな努力が反映されないということが良く知られており、そのままでは勝利に結びつかない。

2015年決勝を見てみると、マイケル・バン・ガーウェンは2倍の180得点とアベレージも6ポイント上、4レッグ多く取っていたがロバート・ソーントンに敗れた。

その時のバン・ガーウェンの問題点は獲得した20レッグのうち8レッグが無駄な勝ち方でセットを競う場面で取れていなかったことだ。

加えてワールドグランプリはワールドチャンピオンシップなど他のフォーマットのトーナメントと異なり、タイブレークのセットで2レッグ差をつける必要がないことだ。先攻プレーヤーは重大な58%のアドバンテージを得ることになる。

最後に、ワールドグランプリではまさかのどんでん返しが多く起きている。

フィル・テーラーはダブリン4度にわたってノーシードの相手に一回戦で敗れ去った。このような状況は他のラウンドや他のテレビトーナメントでは起きないことだ。

マイケル・バン・ガーウェンに目を向けると2017年の一回戦敗退ではジョン・ヘンダーソンより多くのレッグ数を勝ち、世界No.2のロブ・クロスは過去2度出場するも1セットも取れていない。

ダブルの名手なら一回戦を10分で終わらせることができるが、ばらばらなショットになれば試合はもつれ込み劇的な結末となる可能性がある。全てが異常な時間が過ぎていく。トッププレーヤーにはリズムを作るのに短すぎ、獲物を狙う他のプレーヤーには丁度いい時間だ。

他のトーナメントのように長丁場(ワールドマッチプレー)、長期間(プレミアリーグ)などを耐え抜くことに褒美がもたらされるのではない。このような長いイベントでは多少レッグを落とそうが試合を落とそうが巻き返しが可能だ。しかしワールドグランプリはそのような状況に厳しものとなっている。

トーナメントのプレーヤーが最終レッグを1本でダブルスタートし、または大事なチェックアウトが出来てセットを奪うなど、想像できない程のアドバンテージが生じる。アベレージやダブル率などはここでは通用しない。

どんでん返しの可能性、永遠のダブルトライ、難しすぎる9ダーツへの夢、これらがPDCカレンダーの中で一番興奮させるトーナメントの一つとしている。

0
0

LATEST NEWS

HOME

NEWS

<メジャー>ワールドグランプリ、歴代初のタイトル防衛なるか