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【AMA Darts.01】Hiroaki KANAZAWA

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2018.03.23 Fri.

~Ask Me Anything~

 ※【AMA】とは「Ask Me Anything(何でも聞いて)」の略である。

 ダーツバー放浪を続けている私だが、数々のダーツのスタイルを【オススメ】している私だが、ダーツもダーツバーも結局は【人】であるのではないかと思っている。ダーツという単純ながらも奥深いゲームであり、スポーツがある。プレイするのは人間で、勝負になれば人間対人間である。これをなんらかのマシンやAIがやると、結局どっちも完璧なダーツをしてしまい、先行が勝つ当たり前の状態になる。それは全然面白くない。入るのが当たり前になってしまう。人間が投げるからこそ面白いのである。人間が困難を努力し克服する姿は魅力的で、また美しい。結果だけ追求するならダーツはとても面白くないものになってしまう。ダーツは「過程を楽しむ」というところに面白さの大半が詰まっている。
 やはりダーツの面白さは「人間」だからこそである。
 緊張し、思ったように入らない事がある。対戦相手に得意不得意がある。調子がある。レーティングが存在する。それらはすべて、人が関わるものだからである。ダーツ用品も、ダーツをする場所(たとえばダーツバー)も作っているのは人間である。ダーツを構成するほとんどを人間がやっているからこそ面白いのではないだろうか。
 天野は何を言い出したかと思われる方が多いとは思う。なにを当たり前のことを言っているのだろうか、この馬鹿は、と。
 私は「ダーツに関わる人」に着目してみたくなったのである。プロ選手は花形で、みんなの前で脚光を浴びることが多い。プロ選手だけでなく、ダーツにはたくさん関わっている人が多いのも事実である。プロ選手の数より少しい多いくらいだと何となく思っているが、ダーツに関わっている人たちがいるはずである。あちこちダーツバーを放浪している時に、様々な面白い人達と出会ってきた。そういう人たちこそダーツの魅力そのものなのではないだろうかと考えるようにもなってきたのである。
 そういった方々は謙虚な方が多く、表に出てくることは少ないかもしれない。でも、ダーツに対する愛は人一倍あるのだと思う。そういった方々のお話をたくさん伺いたくなったのである。
 しかし、残念ながら「自分より選手を」とやんわり断られることも多い。そういう人ほど、より魅力的だったりする。
 不定期になってしまうが、そういう人に着目していくようなコラムを書き、出来るだけ皆様にご紹介してゆき、ダーツ業界、ダーツの世界をより好きなってもらえたらと思って、またペンをとっている次第である。

Hiroaki KANAZAWA

SUPER DARTS2018の予想をする金沢氏

 当サイト「SMAG.」のコラムニストでもある金沢氏。私自身、公私ともにお世話になっている先輩ではあるのだが、今回この【AMA Darts】というコラムをスタートさせようと起案したきっかけになる人でもあり、一番最初に快諾してくれた人である。思った以上に、お話を伺いたい方々が、自分より選手を、自分よりお店を、自分より製品を、とおっしゃることが多く、お話を載せることが難しい中、金沢氏は本当に快く引き受けてくれて、私は助かった。
 金沢氏は「ダーツと映画」というテーマでコラムを書いている。下記URLから是非ご一読いただければと思う。
   http://magazine.s-darts.com/c…
 ダーツは生活に溶け込む事が出来る故に、映画や漫画、ドラマなどでチラッと映る事が多いので、探すというのも楽しみの一つである。こういう楽しみ方が出来るのも、ダーツプレイヤーである特権である。
 終始私に「コラムニストとしてか、天野君の友人としてなのか、どうやって答えたらいいんだ!!」とおっしゃっていた。最終的には「多重人格キャラでいく」というユーモアもあり、普段から面白い人である。

Questions and Answers

 ……まずはじめに、ダーツを始めたきっかけを伺います。
「ダーツを始める当時の上司にあたる人が『ダーツやろうぜ』と渋谷のダーツスポットに連れて行ってくれた事だなと。ダーツマシンを目の当たりにして、それまでのダーツというものへの認識がぶっ壊れ、『なんじゃこりゃぁ!!』とカルチャーショックを受けた」

 ……じゃあ、初めてダーツを買ったのは?
「そこに行く前に、そこのそばのダーツショップに連れて行かれ、マイダーツを買った方がいいといわれ、わけわかんないまま1500円くらいのブラスダーツを買った。その後は、もう湯水のようにダーツにお金を使いました(笑)」
ーーーー何となく、一般的なダーツの始め方はこんな感じのような気がしてきてしまう。ダーツにはまっている身近な人に「ダーツいこう!!」と誘われ、あれよあれよという間にダーツを持っていて、自分もはまっている。

 ……ダーツをしていてよかったと思う事は何ですか?
「結果として、知りえない世界を知った、というのは良かったです。たくさんの出会いがあり、自分の意図していない方向へ人生が進み始めたと思います」
ーーーーこれはダーツに長く携わってきた人達は、なんとなく感じている事なのではないだろうか。ダーツによって、良くも悪くも人生は影響される。気が付いたら昔想像していた自分とは全然違う所にいたりする。いいか悪いかは別として、そういうものなのかもしれない。

 ……金沢さんのダーツバーの楽しみ方を教えてください。
「あくまで個人的な楽しみ方ですが。お酒を飲むという目的が前提にあり、その上でダーツもちょっとしたい、というのが常です。またいつも行くお店なのか、初めて行くお店なのかで楽しみ方も変わります。
 いつも行くお店の場合は、そこがどういう場所なのか、ある程度勝手を分かっているので、お酒を飲みながら、ダーツをしたりしなかったり、自由気ままに過ごします。
 初めて行くお店の場合は、どんな雰囲気なんだろうかとか、どんな人たちがいるんだろうかとか、お酒を飲みながら観察しているだけで楽しいです。
 新しいお店に一人で行くとさみしさはありますが、一人でいる方が『ダーツ投げませんか』などと誘ってもらいやすいようにも思います。
 素敵な店だと思ったら、また行けばいいし、『ひー、嫌だー』と思ったら行かなければいいので、近所にお店があれば、結構、飛び込んでいました。でも、今は近所にお店がないんだよね(笑)」

 ……ダーツバーでダーツをするメリットは何ですか?逆にデメリットは何だとお考えですか?
「メリットは、自分ではない他のダーツを知っている人がいて、話が出来る事。対戦できる。普通のバーでは求められてダーツの話をしても『へえ、そうなんですね。知らなかった』で終わるが、ダーツバーの場合は、当然ダーツの話をしても違和感がない。
 デメリットは、当たり前の話ですが、時間とお金が必要であるという事。時間やお金と引き換えにする価値がそこにあるかというのは、あくまでも自分で決めることで。私も昔は、なけなしの生活費を握りしめてダーツバーへ行く、なんてこともやってましたが、その価値が当時はそこにあったので、損した、とか、他の事をやってれば、という後悔がなかったです」
ーーーー後悔がないと言い切る金沢氏だ。自分の人生が氏の意図しない方向に進んでいることもある。氏ご自身が、人生の楽しみ方を知っているのだと強く感じた。

 「義務教育での勉強は、人生は平等ではないという事を教え、それを悟った時に人の人生が始まる」
 ……みたいな言葉をどこかで読むか聞くかをした事を思い出したが、今回は全く思い出す事ができないし、ググる気もないが、そういう事を氏は内在的に持っている気がする。劣等感、不平不満、いろんな事が私たちの人生にはある。同時に後悔や羨望、恨みつらみなどである。生まれながら個体が違う以上、平等ではないということは当たり前である。それを時に「運」と呼んだりするかもしれない。それを乗り越える、あるいは他の何かに代えて生きていくことこそが人生だと、氏は体現している気がしなくもない。そこが魅力的なのかもしれない。
 そしてまた、絶対、誰の、何の言葉か思い出せない言葉を思い出した。
 「それでも人生は続いていく」と。「セ・ラヴィ」みたいな感じかもしれない。

 我々がダーツで知り合った事もある。そりゃ、一緒にダーツを投げる。なにより、ダーツをするとその人となりがわかってくることもある。ダーツをしながら他愛もない話をしながら、どうしても聞きたかった事を質問した。

 ……『空腹と満腹、どちらがダーツに有利であると考えますか?』
「狩猟民族の場合、空腹があって必死で獲物を狩りに行くという行動の流れがあるので、空腹の方がアグレッシブなダーツが出来るという話ですが、私は農耕民族タイプなのか、それを実感することはありません。しかし、満腹でダーツをすると眠たくなってしまい集中力が散漫になることはあります。というわけで、腹五分から八分目が一番有利なのではないでしょうか」
 私の場合は狩猟民族の実感は皆無であるが、空腹の方がダーツが入る印象があっての質問だった。優しい。こんなくだらない質問に真面目に答えてくれるあたりが、とても優しい人だと感じることが出来る。農耕民族よろしく、何かを育て、守って生きてきた男に違いない。

 このインタビューは、受けていただける人が少ないこともありシリーズ化は難しいとは思う。しかし、お話を伺えた時には書いていきたいと思っている。
 ダーツの本当の魅力は、そのゲーム性や歴史だけでなく、それを支える「人」「店」なのだと思うから、である。

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