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SE7EN

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2018.07.16 Mon.

セブン

『セブン』という映画がある。
吹き替え版での地上波放送も行われているので、観たことのある方も多いだろう。

キリスト教の七つの大罪をモチーフとした連続殺人が起こり、大都会へ異動してきたミルズ刑事(ブラッド・ピット)と老齢のサマセット刑事(モーガン・フリーマン)の二人が事件の解決にあたる、というストーリー。

地方から栄転、解決しがいのある事件に飢えた血気盛んなミルズ刑事と、大都会での事件に嫌気がさし、静かに引退を迎えようとしているサマセット刑事。

物語の根幹は、この二人が謎の犯人像を追いつめ、事件の真相を解き明かそうとする部分。
しかし、実はこの対照的な二人のキャラクターや関係性が面白いバディムービーでもある。

今回は、モーガン・フリーマン演じるところのサマセット刑事のキャラクターについて一考する。

サマセットとダーツボード

サマセット刑事は、デスクワークをするための自分の事務室にダーツボードを設置している。
そして、そのダーツボードは、ボード表面の麻がボロボロになるほど投げ込まれている。

これは相当な時間をダーツの練習に費やしているに違いない。

設定面から分析すると、猪突猛進、現場主義のミルズとは異なり、サマセットは年の功もあり、相応の落ち着きとインテリジェンスを備えたキャラクターである。

ダーツには点数計算やピッタリ0点でフィニッシュするための点数メイク(アレンジ)等、インテリジェンスが必要な要素が少なからずあり、ボロボロのダーツボードはきっと知的なサマセットのキャラクターを表現するのに適切な小道具だったのだろう。

サマセットはダーツが好き。

そんな設定が垣間見えるのオフィスの場面ではあった。
ところが、直後の場面で、このサマセットのキャラクター設定に疑問が生じることとなる。

夜中、サマセットは自宅の部屋でもダーツボードに向かっていた。
暗い部屋の一角で、黙々と投げ込んでいる。

なんて練習熱心なんだ。
刑事をリタイアし、もしかしてプロダーツプレイヤーでも目指しているのか、とふと思ったがしかし、よく見ると一生懸命投げ込んでいたそれは、ダーツの矢ではなく、切っ先鋭い小型のナイフだったのである。

これはものすごく危険な行為である。
ダーツボードは点数のエリア毎に金属製のワイヤーで区切られている。
もし、このワイヤーにナイフの刃が当たったらどうなるか。
ナイフは刺さらずに弾かれてしまい、周辺の家具や床にダメージを与えるだけではなく、自分へと跳ね返ってくるかもしれない。

サマセットは、そのスリルを楽しんでいるようにも思える。
彼にとってダーツボードはナイフを刺すための場所であり、ボードに記載されている点数なんか、まるで関係なかったのである。

眠れないときや仕事で行き詰まったとき、ダーツボードに向かってナイフを投げ、気を晴らしたり、落ち着きを取り戻したり、そうやって自分の感情をコントロールしているのかもしれない。

投げナイフの練習をする習慣は日本ではあまり見かけないが、ダーツに比べるとインテリジェンスを感じる行為ではない。
どちらかといえば、暴力的、野蛮な行為というイメージがあり、それこそがサマセットの深層心理、本当のアイデンティティに繋がっている、と推測する。

ストーリーを追っていくと、サマセットが若かりし頃は、ミルズのような熱血刑事だった、ということがなんとなくわかっていく。
都会での度重なる凶悪な事件に触れるうち、若さや勢いだけでは解決されない何か、があることに気付いたサマセットは、後天的にインテリジェンスや落ち着きという鎧を身につけていったのだ。

こう考えると、サマセットというキャラクターの人生がダーツボードを通して一瞬垣間見えたような気がしませんか。

事務所のダーツボードはボロボロに見える。

自宅でも練習に励むサマセット。

ダーツではなく、小型の折り畳みナイフだ。危ない。

噛めば噛むほど味が出る

この『セブン』はスルメ映画の一つであると思っている。
噛めば噛むほど、一度だけでなく二度三度と深読みしながら観て楽しめる映画。

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